天然ガスは化石燃料と比較して温室効果ガスである二酸化炭素や、酸性雨の要因である窒素酸化物の排出量が少ないことから、クリーンなエネルギーとして注目を集めています。その天然ガスを-162℃まで冷却し液化したものが液化天然ガス(LNG:Liquid Natural Gas)です。LNGは、気体の時と比べて体積が約600分の1になり、一度に大量に貯蔵・輸送することができるようになります。エア・ウォーターではLNGをお客様に届けるための設備や機器の開発を行っています。

研究開発テーマ

  • LNG供給設備の開発

省スペース型のLNG供給設備「Vサテライト」「マイクロサテライト」の開発を行っています。

 

  • LNG輸送機器の開発

保有する極低温技術を活かし、LNG輸送のための機器開発を行っています。

 

  • 新たなLNG用途に対応した技術開発

LNGのさまざまな需要に対応する新たな供給モデルの開発を行っています。

具体的な取り組み

①小規模ユーザー向けLNG供給設備「Vサテライト」「マイクロサテライト」

世界的な脱・低炭素社会への移行を受けて、工場等のエネルギーを重油から、クリーンなガス体エネルギーであるLNGに燃料転換するお客様が増えています。しかし、その際に問題となっていたのが、LNG供給設備の設置場所です。既存の工場にLNG供給設備を設置するには広いスペースを確保しなければならず、特に中小規模の工場ではLNG供給設備の設置を断念することが多くありました。
そこで、エア・ウォーターでは、気化器やボイラー等の付帯機器を貯槽タンク下に格納し一体化したことにより、設置面積を従来の1/5まで省スペース化した新しい小型LNG供給設備「Vサテライト」を2019年に開発。省スペース化を実現できるほか、工場で設備をユニット化して出荷することで現地工事を大幅に短縮、また、資格者の選任が必要ない無加圧設備や簡易な開放検査で運用できる温水気化器の採用により、メンテナンスの簡易化を実現しました。2020年には、さらに小型※の「マイクロサテライト」も開発し、幅広いニーズに対応したLNG供給設備を展開しています。

 

※「Vサテライト」はLNGの年間使用量が800~1,500トン程度の工場に、「マイクロサテライト」は300~800トン程度の工場に適しています。
 

より詳しい情報が知りたい方はこちらから

②LNGトラック向け小型充填設備

トラックやバスなど輸送に関わる車両においても、石油代替エネルギーとしてLNGが注目されています。大型トラックでもLNGへの燃料転換が検討されてきましたが、LNGをトラックに充填するための設備が存在しませんでした。

そこでエア・ウォーターでは三菱商事(株)と共同で、LNGトラック向けに物流施設内の限られたスペースに設置可能な小型LNG充填設備を開発しました。この設備は、日本で初めての可搬型の充填設備であり、且つ、停電時にもトラックへのLNG充填が可能となる自家発電設備を搭載した世界初のシステムです。加えて、排熱回収温水を循環利用することで、寒冷地や湿度が高い地域における氷結トラブルを回避することが可能です。
エア・ウォーターと三菱商事は、本設備の商用化に向けて、2020年11月より北海道で複数台のLNGトラックを用いた実証試験を開始しています。本設備をIoT技術でネットワーク化することで、大型LNGローリーによる本設備へのLNG配送やLNGを燃料とする大型トラックへのLNG充填の最適化に加え、燃料に液化バイオメタンを配合することにより従来の軽油燃料に比べて大幅なCO2排出削減の実証を目指しています。

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