労働安全衛生

エア・ウォーターグループはマテリアリティのひとつに「働く人々のWell-beingの実現」を掲げています。なかでも、安全の確保は企業活動の大前提であり、従業員の安全・安心なくして企業の存続と発展はないと考えています。

こうした考えのもと、エア・ウォーターグループは、「安全衛生基本方針」に基づいて労働安全・交通安全・労働衛生・保安防災に努めています。

安全衛生基本方針

  1. 労働災害ゼロをめざして、総合的かつ計画的な安全対策を推進します。
  2. 従業員の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成と働く人々のWell-beingを実現します。
  3. 可燃物や化学物質の管理、火気および着火源となりうる機械装置等の取扱いを適切に行い、火災事故ゼロに取り組みます。
  4. 関係法令・作業手順を順守し、労働安全、交通安全、労働衛生及び保安防災の責任体制の明確な職場をつくります。

以上の基本方針の下で、安全衛生教育を通じて、「安全衛生第一」とする従業員一人ひとり意識の向上と、会社としての風土作りを推進します。

※ Well‐Being : 一人ひとりが、自らのはたらき方で人や社会の役に立っているという充実感

安全衛生体制

エア・ウォーターでは、職場の安全衛生を確保するため、安全衛生統括本部長の下で中央安全衛生委員会を定期的に開催しています。安全衛生統括本部長は、全社の安全衛生の統括、労働災害防止に関する経営責任を負っています。安全衛生統括副本部長はコンプライアンス室長が就任し、安全衛生統括本部長の補佐をしています。
このほか安全担当委員、衛生担当委員、各安全衛生部長を中央安全衛生委員会のメンバーとして選任し、また労働組合の代表者が参加することで従業員の意見を反映しています。

中央安全衛生委員会で討議された内容は、社内ネットワークを通じて社内に公開して情報の共有化を図っています。

労働災害低減

労働災害低減目標

安全の確保は企業活動の大前提であり、従業員の安全・安心なくして企業の存続と発展はないと考えています。中期経営計画「terrAWell30 1st stage」において、グループ全体の休業災害度数率(業務中)を2021年度の1.15から2024年度に0.9以下にすることを目標に掲げ、職場における安全衛生の向上に取り組んでいます。

※100万延労働時間当りの労働災害による死傷者をもって災害の頻度を表わした指標(度数率=労働災害による死傷者数/延労働時間数 × 1,000,000)

労働災害統計

2023年度の休業災害発生件数(業務中)は54件で前年度(64件)より減少しています。

休業災害度数率(業務中)

休業災害(業務中)事故原因

2023年度の休業災害発生件数(業務中)54件

労働災害低減への取り組み

エア・ウォーターグループが展開する事業は、産業ガスを起源とする「関連型多角化」です。産業ガスは、社会的に安定供給が求められる事業の特性を有することから、保安・防災などの安全管理体制の確保は、事業継続による企業責任を果たすうえで、極めて重要です。加えて、職場における労働者の安全を確保し、快適な職場環境を形成することは人的資本経営の前提となります。そのため、エア・ウォーターグループでは、すべての事業における労働安全衛生を重要な経営課題のひとつとして捉え、労働災害低減に向けた取り組みを推進しています。

■2024年度の取り組み

1.安全意識の向上に向けた活動

災害リスクに対する感性を高めるため、以下の取り組みを実施。

  • 各職場において少人数によるリスクの確認を実施
  • 作業手順書の見直しと職場の安全な状態の維持を確認
  • 安全情報や災害の情報収集と共有化を行い、Web資料やDVDなどによる勉強会活動を推進
  • 可燃物や化学物質の管理、火気および着火源となりうる機械装置等の取扱いを適切に実施

2.『防火管理』『転倒災害』『はさまれ・巻き込まれ』『交通事故』撲滅活動

(1)強化月間において、以下の取り組みを実施。

①防火管理(4月、9月)

  •  主要火災原因に基づく一斉点検、主要火災原因の管理状況の再確認
  •  防火対策の実施、・消防設備の確認

②転倒災害、はさまれ・巻き込まれ(6月)

  • 『はさまれ・巻き込まれ』撲滅の基本原則(危険源の除去、隔離の原則、停止の原則)の徹底
  • 『転倒』の可能性がある通路、作業場所等の、リスクアセスメントによるリスクの洗い出しと低減の実施
  • 労働災害防止チェックシートを活用し、安全パトロールにより災害防止対策の実施状況を確認

③ 冬季の転倒・交通事故の防止(12月)

  • 冬季の気象情報を把握し、職場単位で周知する体制の構築(通勤災害の注意喚起)
  • 道路、通路、作業床面の凍結等による転倒災害防止対策の徹底
  • 安全運転教育による交通事故対策の実施

(2)  日常における実施事項

  • 安全パトロール等による『転倒災害』『はさまれ・巻き込まれ』の可能性箇所の現状把握
  • 『はさまれ・巻き込まれ』防止のための安全教育の実施
  • 転倒の可能性、過去に災害が発生した作業場所への転倒防止啓発ポスターの掲示
  • 作業通路における段差や凸凹、突起物、継ぎ目等の解消、危険箇所を表示(トラマーク等)
  • 5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の徹底による床面の水濡れ、油汚れ等の除去および障害物等の除去
  • 転倒災害防止のための安全な歩き方、作業方法の推進、ストレッチ体操や転倒予防体操の励行

安全な職場環境の構築に向けて

安全に関する研修

エア・ウォーターでは、安全に関する様々な研修を行っております。毎年、グループの安全衛生スタッフが参加する「安全スタッフ研修会」、高圧ガスに携わるスタッフを対象とした「高圧ガス保安技術スタッフ研修会」を実施しています。その他、「非定常作業の災害防止研修会」「化学物質リスクアセスメント研修会」「機械・作業のリスクアセスメント研修会」などを開催し、労働災害の低減のために取り組んでいます。

また、エア・ウォーターグループ全体でも高圧ガス保安・技術スタッフ研修会(9月)、安全スタッフ研修会(3月)や、VR、小型体感機による安全体感講習を開催(新入社員講習など)しています。

安全スローガン

エア・ウォーターは、毎年7月の「全国安全週間」にあたり、安全意識の高揚を図るため、グループ会社も含めた全従業員へ「安全スローガン」を募集しています。従業員にとっては、職場や家庭で安全について考える良い機会となっており、優秀作品は表彰すると共に、安全ポスターに掲載して各職場に掲示しています。併せて、作品の提出率が高い会社や多くの作品を提出した会社をグループ安全衛生活動優良会社として表彰することで、会社単位での積極的な取り組みを推奨しています。

安全情報の共有

エア・ウォーターでは、グループ内で発生した事故や各職場の労働安全衛生活動を促す情報などを「安全情報」として、社内ネットワークで配信しています。特に重大・重篤な事故につながりかねない休業災害が発生した場合は、速やかにリスク分析を行って事故発生の直接原因や再発防止対策を明文化し、これらの情報をグループ内へ提供しています。
情報を共有し職場へ浸透させることで、職場環境への意識向上や職場改善への水平展開を行い、類似災害の防止につなげています。

労働組合との関わり

エア・ウォーターは「労使の関係は車の両輪である」と考えています。お互いの立場を尊重し、一定の距離を保ちながら、双方向で意見を率直に交わすことで、常により良い方向に向かって行く強固な協力関係を築くよう努めています。

労働組合の安全衛生への関わり

エア・ウォーター労働組合は中央安全衛生委員会に参加するほか、毎年グループ安全衛生交流会を実施し、グループの安全衛生意識の向上を図っています。

その他の取組みとして、労働組合による安全衛生委員会の実施状況・内容の確認と会社への改善申し入れ、労使で協働した適正な労働時間管理の取組みを実施し、従業員を主体とした安全衛生の改善が行われています。

エア・ウォーターグループの健康経営

エア・ウォーターグループは、従業員の健康は会社にとって貴重な財産であり、成長戦略の最大のエネルギーである、という考えのもと、職場環境の改善と組織的な健康活動を積極的に推進し、会社の成長と従業員の健康を両立させる健康経営を目指しています。現状課題の把握と企業特性を踏まえながら、HR戦略室と健康保険組合が中心になって、グループ従業員の健康増進に向けた取り組みを行っています。

 

健康経営宣言

<エア・ウォーターグループ健康経営宣言>
社員の健康は会社にとって貴重な財産であり、成長戦略の最大のエネルギーです。社員一人ひとりが心身ともに健康で、新たな成長へ向けたチャレンジが続けられるよう、職場環境の改善と組織的な健康活動を積極的に推進し、会社の成長と社員の健康を両立させる健康経営を実践します。

推進体制

経営者のリーダーシップのもと、会社と健保組合・協会けんぽの協働(コラボヘルス)による健診データ分析に基づく保健事業計画(データヘルス計画)を実践し、従業員の健康状態の把握、各種施策の検討、効果の検証等を行っていきます。

推進体制図

具体的な取り組み内容

エア・ウォーターでは、健康経営推進チームとともにグループ各社が一体となって、現状課題の把握と企業特性を踏まえながら、下記の取り組みを推進しています。

  1. 健康保険組合とのコラボヘルス
    健康保険組合との連携を強化し、医療費並びに健診データの分析により当社の健康課題を明確にします。
  2. 定期健康診断の全員受診
    定期健康診断の受診率100%を目指します。
  3. 特定保健指導の受診勧奨
    健診結果に基づく特定保健指導対象が指導を受けられる体制を作り、対象者全員に指導を受けるよう勧めます。
  4. 再検査等の受診勧奨
    健診結果で再検査、精密検査又は治療の指摘があった対象者全員に医療機関を受診するよう勧めます。
  5. 社員の健康維持・増進対策の実施
    ①禁煙対策
    ②生活習慣病対策
    ③食生活改善対策
    ④メンタルヘルス対策
    ⑤運動推進対策 など

メンタルヘルスケアの取り組み

エア・ウォーターでは、従業員のメンタルヘルスケアに対する総合的な取り組みの中にストレスチェック制度を位置づけ、一連の取り組みを計画的かつ継続的に進めています。ストレスチェック制度は、従業員が自身のストレス状態を把握してセルフケアに活かすことと、会社が職場環境の状態を把握して働きやすい職場づくりにつなげることでメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的としています。
2023年度は1,093名がストレスチェックを受け、そのうち高ストレスであると判断されたのは100名(9.1%)でした。ストレスチェックの結果は外部専門機関から直接本人に通知しており、従業員は会社を介さず外部相談窓口での相談を受けることができます。また、会社に申し出た従業員に対しては、産業医等による面接指導を実施し、メンタルへルス不調の早期発見・早期対応につなげるよう努めています。