エア・ウォーターグループは、2021年8月に金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明するとともに、「TCFDコンソーシアム」に参画しました。TCFD提言では、気候変動に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標に関する情報開示が求められています。当社グループは、提言に沿って、2022年3月に情報を開示し、毎年更新を行っています。
エア・ウォーターグループは、気候変動の対応を重要な経営課題の一つとして認識し、気候変動に関する統括部署として、2024年4月1日付で新たに「カーボンニュートラル推進室」を設置しました。「カーボンニュートラル推進室」は、当社グループの気候変動の対応に関する諸施策を立案・実施しているほか、当社グループ内に気候変動の対応の取り組みの浸透を図るとともに進捗確認を行っています。また、事業グループ・ユニット、地域事業会社、グループ会社に、気候変動関連のリスクや機会の検討・評価を担当するTCFD推進責任者又はSDGs事業推進担当者を配置する体制とし、事業戦略・事業推進に気候変動関連の観点を反映しています。
気候変動に係る基本方針や重要事項は、最高経営委員会で審議し、重要な事項は取締役会に報告されます。取締役会は、報告された内容に対し適切に監督する態勢を構築しています。
気候変動の対応に関するガバナンス体制
※1 最高経営委員会は、代表取締役会長・CEOを議長とし、当社グループの広範囲にわたる事業領域における的確かつ迅速な意思決定を支える機関として、社内取締役と各事業部門の責任者等で構成する最高経営委員会を原則として月1回、開催しています。最高経営委員会は、広範囲かつ多様な見地から取締役会の付議事項について事前審議を行うほか、当社グループの業務執行に関する重要事項について審議を行っています。
エア・ウォーターグループは、経済価値と社会価値を両立した持続可能な成長を実現するため、2050年をゴールとするサステナブルビジョンをベースに中長期的な企業価値向上に取り組んでいます。また、ビジョン実現に不可欠な要素を「成功の柱(マテリアリティ)」と定義し、7つの重要課題として特定しています。気候変動への対応は、その重要課題の一つとして、事業の戦略との統合を図っています。
エア・ウォーターグループは、自らのGHG排出量削減という<責務>と製品・事業を通じた社会のHG排出削減という<貢献>の両面からカーボンニュートラルに取り組んでいます。自らが排出するGHGの削減として、2030年の30%削減目標達成までの道筋や課題、期日などを明確化するためにロードマップを策定しています。このロードマップでは以下の優先順位でGHG削減に取り組むこととしています。社会のGHG排出削減として、具体的には、産業ガス事業で培った精製・分離・貯蔵などのガスコントロール技術を駆使し、バイオガス、メタン、水素などのガス供給やCO2回収・利活用といった低炭素・脱炭素に寄与するカーボンニュートラル技術の開発などを行っています。2024年4月には「エア・ウォーター・グリーンデザイン㈱」を発足させ、炭酸ガス・水素の事業インフラと関連技術を結集することでCO2の回収・利活用や低炭素水素といったイノベーションを加速し、カーボンニュートラル市場に向けた事業展開を推進していきます。
気候変動という予測困難で不確実な事象に関するリスクと機会を特定し、それらのリスクと機会がどのように事業の戦略に影響を与えるのかを確認するためにシナリオ分析を行いました。2023年度は全ての事業ユニットとその他主要事業を対象に世界の気温が今世紀末に産業革命前と比較して1.5℃上昇するシナリオ「1.5℃シナリオ」、4℃上昇するシナリオ「4℃シナリオ」を用いて分析を行いました。
想定した各シナリオの概要
シナリオ | 影響 | 参照シナリオ |
1.5℃シナリオ | 温暖化抑止に向けて技術革新や規制強化が進む(再エネ、CCUSなど普及) | IEA WEO2023 2050年ネットゼロ排出シナリオ |
4℃シナリオ | 低炭素・脱炭素化は推進されず、物理的リスクが高まる | IPCC AR6 SSP5-8.5シナリオ |
- 大雨・台風・洪水のような異常気象の深刻化・増加 | ||
- 平均気温の上昇・海面上昇など |
シナリオ分析の結果、リスク、機会共に「1.5℃シナリオ」の方が影響は大きいが、「1.5℃シナリオ」、「4℃シナリオ」のいずれも十分な対応策や機会獲得・拡大を見込んでおり、不確実な長期的な将来に対し、エア・ウォーターの基本戦略は十分なレジリエンスを有していることを確認しました。
シナリオ分析は全ての事業ユニットを対象に以下のステップで実施しました。
ステップ1 世界観の想定(1.5℃の世界、4℃の世界)
シナリオ分析の前提として、2050年の時点で自らの事業をとりまくステークホルダーの動向を想定した世界観をまとめました。
ステップ2 気候変動関連リスク・機会の想定
ステップ1で想定した世界観を前提に、TCFD提言にて例示されているリスク・機会の項目を元に事業における気候変動に伴うリスク・機会の項目を想定しました。
ステップ3 リスク重要度の評価
ステップ2で想定したリスク・機会の項目に関し、自社のビジネスモデルを踏まえ、起こりうる事業インパクトを評価し、事業において重要なものを特定しました。
ステップ4 財務影響の試算
重要と評価した項目について、財務影響の試算を行いました。
ステップ5 対応策の検討
2050年における世界観や 対応策の検討は事業への影響が顕在化する時間軸(短期〈~2024年〉、中期〈2030年頃〉、長期〈2050年頃〉)を踏まえた上で、内容を検討しました。
事業 |
全事業共通 |
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シナリオ |
区分 |
事象 |
事業インパクト |
時間軸 |
対応策 |
財務 影響度 |
1.5℃ |
移行リスク |
GHG排出に関する規制の強化(炭素税) |
炭素賦課金(海外は炭素税)の導入による使用する電力および燃料のエネルギーコストの増加 |
中期 |
・製品価格への転嫁 ・高効率プラントの開発 ・環境価値の購入 |
大 |
4℃ |
物理的リスク |
台風・洪水のような異常気象の深刻化や増加 |
自社製造拠点の設備被害や交通インフラの物理的被害による生産活動と製品輸送の損害 |
長期 |
・保険加入による補償、補填でカバー ・設備対策BCP |
中 |
事業 |
デジタル&インダストリー |
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シナリオ |
区分 |
事象 |
事業インパクト |
時間軸 |
対応策 |
財務 影響度 |
1.5℃ |
移行リスク |
再エネ賦課金の上昇 |
再生可能エネルギーによる発電が増加し、再エネ賦課金が上昇するとともに再エネ賦課金の減免率の見直しによるコストの増加 |
中期 |
・小型高効率プラントの開発・省エネ設備の導入 ・再生可能エネルギーの購入 ・DX導入による生産性改善 |
小 |
生産プロセスの変化 |
既存顧客である鉄鋼の生産プロセス変更(電炉、水素還元)に伴う酸素ガス使用量の減少 |
中期 |
顧客使用量変化に適合した高効率プラントの開発・導入の検討 |
ー |
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移行機会 |
新規市場の獲得、既存事業の拡大 |
デジタル化によるデータ処理量増加に伴う製品の省エネ化・次世代パワー半導体の需要の増加 |
中期 |
半導体分野向けの産業ガス、特殊ガス及び特殊ケミカル品の安定供給体制の拡充 |
大 |
|
新規市場の獲得、既存事業の拡大 |
グリーン電力を使用した付加価値の高いガスの販売機会の獲得 |
中期 |
マスバランス方式の第三者認証取得による外部への訴求力の向上 |
小 |
||
新規市場の獲得、既存事業の拡大 |
ZEHの普及による硬質ウレタンフォームの需要の増加 |
中期 |
「マキシモール」拡販・増産体制確立、新製品開発 |
小 |
||
脱炭素エネルギーの利用拡大 |
水素需要の増加 |
中期 |
・既存水素製造拠点の安定稼働と拡充 ・水素発生装置新拠点拡充 |
大 |
||
4℃ |
物理的リスク |
平均気温の上昇 |
ガス製造において原料空気の温度が上昇による製造原単位の悪化 |
長期 |
小型高効率プラントの開発・省エネ設備の導入と運転効率化 |
小 |
適応機会 |
台風・洪水のような異常気象の深刻化や増加 |
BCPの観点から全国的な供給ネットワークを保有している当社のガス需要の増加 |
長期 |
配送業者の会社再編による配送体制の強化、「VSU」ネットワークの構築の強化 |
ー |
事業 |
エネルギーソリューション |
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シナリオ |
区分 |
小分類 |
事業インパクト |
時間軸 |
対応策 |
財務 影響度 |
1.5℃ |
移行リスク |
消費者行動の変化 |
LPG、灯油などの化石燃料の需要減少 |
中期 |
LPG・LNG・灯油からCNLPG・アンモニア・水素へ販売を転換 |
中 |
既存製品の低炭素技術へ入れ替え |
代替燃料への移行に伴う生産・貯蔵・輸送へのインフラ資産への投資増 |
中期 |
・代替燃料用の貯蔵・充填機器・輸送機器の整備 ・再生可能エネルギー等への投資における収益拡大 |
大 |
||
移行機会 |
低炭素エネルギーの利用拡大 |
・重油などから環境負荷の少ないLPG、LNGへの燃料転換需要の増加 ・LPGのCN対策としてCNLPGの需要が増加 |
中期 |
・営業による販売機会の獲得 ・設備投資による事業拡大 |
中 |
|
低炭素商品の開発・拡大 |
LNGの関連機器販売増加 |
中期 |
・営業による販売機会の獲得 |
中 |
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新規市場への事業拡大 |
バイオメタン、eメタン及びCCUS事業の拡大 |
中期 |
・優良な国内バイオメタンソースの確保 ・都市ガス会社と協業による導管への導入。 ・CO2回収・精製・メタネーション技術を蓄積することで強固な事業基盤を形成する。 |
大 |
||
新規市場への事業拡大 |
・FC商用車が実用化され、モビリティ向け水素需要の増加 ・水素事業・水素ステーション事業の成長 |
中期 |
・クリーン水素調達・供給体制の整備 ・水素ステーションの設置 |
大 |
||
4℃ |
適応機会 |
台風・洪水のような異常気象の深刻化や増加 |
非常用発電(電源車)の需要の増加 |
中期 |
ハザードマップに基づき新規顧客の獲得 |
中 |
事業 |
ヘルス&セーフティー |
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シナリオ |
区分 |
小分類 |
事業インパクト |
時間軸 |
対応策 |
財務 影響度 |
1.5℃ |
移行リスク |
原材料コストの上昇 |
・梱包材でフィルムなどのプラスチックについて生分解性材料への切り替えによるコスト増加 ・アルコールや綿糸などオーガニックの制限がかかった原材料への切り替えによるコスト増加 |
中期 |
・安価原料での製品仕様の検討 ・製品パッケージのサイズ見直し |
小 |
原材料コストの上昇 |
粗原料の減少により原材料調達コストの増加 |
中期 |
炭酸ガス・窒素などのガスへの切替検討 |
中 |
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消費者行動の変化 |
温室効果があるガス(笑気ガス)の使用量減少 |
中期 |
代替製品の検討 |
小 |
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移行機会 |
脱炭素エネルギー源の利用 |
原子力発電所の再稼働および60年運転に向けた防災設備拡充と維持管理の需要の増加 |
中期 |
防災設備のメンテナンス事業の確立と販売機会の獲得 |
中 |
|
4℃ |
適応機会 |
平均気温の上昇 |
未知の感染症による感染対策関連品の需要の増加 |
長期 |
販売機会の獲得 |
中 |
台風・洪水のような異常気象の深刻化や増加 |
インフラ設備やデータセンターなどへの防災・減災設備(システム)の需要の増加 |
長期 |
・設計・工事体制の強化、人員確保 ・新たな防災減災システムの開発・生産・販売強化 |
中 |
事業 |
アグリ&フーズ |
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シナリオ |
区分 |
小分類 |
事業インパクト |
時間軸 |
対応策 |
財務 影響度 |
1.5℃ |
移行リスク |
原材料コストの上昇 |
プラスチック規制により、再生プラなどの代替品への切り替えによるコスト増加 |
中期 |
自社ブランドの「AZUMINO Mineral Water」(紙製容器)の販売機会の獲得 |
小 |
原材料コストの上昇 |
取水に関する規制強化による水調達コスト(節水施策強化・再利用設備投資)の増加 |
中期 |
・工場排水の再利用化 ・既存設備改造・製造工程の見直しによる水の削減 |
中 |
||
原材料コストの上昇 |
動物性食品の原料(肉、乳製品、卵など)の調達コストの増加 |
中期 |
・畜産品代替原料調達 |
小 |
||
既存製品の低炭素技術へ入れ替え |
代替フロン規制の強化によるノンフロン設備投資(自然冷媒機器への転換)の増加 |
中期 |
・ 代替フロンを使用しない省エネ型の設備の導入 ・ 国や自治体の補助金などの支援制度の活用 ・ 店舗設備仕様の見直しによる投資コスト最適化 |
小 |
||
移行機会 |
研究開発・イノベーションによる新規商品・サービスの開発 |
・植物性食品の需要が増加 ・保存性の高い商品の需要の増加 |
中期 |
・植物性食品の商品開発 ・保存性向上商品の開発 |
中 |
|
4℃ |
適応機会 |
平均気温の上昇 |
止渇飲料の需要の増加 |
長期 |
・市場調査、製品開発、営業活動の強化 ・増産体制や製造ラインの切り替え ・清涼飲料協会の気象予測データの需要予測に合わせた生産計画策定 |
中 |
事業 |
物流 |
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シナリオ |
区分 |
小分類 |
事業インパクト |
時間軸 |
対応策 |
財務 影響度 |
1.5℃ |
移行リスク |
既存製品の低炭素技術へ入れ替え |
EV・FCVトラック購入及び電気・水素STなど充填設備の設置によるコストの増加 |
中期 |
・政府補助金の活用 ・大手自動車メーカーと共同によるFCVトラックの実証走行 |
小 |
移行機会 |
消費者行動の変化 |
低炭素またはカーボンニュートラルな輸送手段の需要の増加 |
中期 |
・EV・FCVの導入の推進 ・船舶でのシャーシ輸送など運行のプランニング |
小 |
|
新規市場への事業拡大 |
水素の需要が増加することによる水素ST等への供給輸送機会の増加 |
中期 |
・水素ガスローリーなど対応車両の増車 |
小 |
||
4℃ |
適応機会 |
台風・洪水のような異常気象の深刻化や増加 |
BCPを考慮した物流網構築への需要の増加 |
長期 |
・全国の拠点を活かした強固な物流網の構築 ・船舶でのシャーシ輸送やJRコンテナなど多様な輸送手段の提供 ・拠点構築時の再エネ・非常用電源設備の導入 |
ー |
事業 |
海水 |
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シナリオ |
区分 |
小分類 |
事業インパクト |
時間軸 |
対応策 |
財務 影響度 |
1.5℃ |
移行リスク |
既存製品の低炭素技術へ入れ替え |
自家発電設備を石炭からバイオマス等低炭素エネルギーへの切り替えによる投資増加 |
中期 |
「低炭素エネルギーで作られた塩」という他社製品との差別化による販売機会の獲得 |
大 |
移行機会 |
リサイクルの活用 |
Caリッチな排海水を原料とする製品の開発 ※排海水中のCaを原料として利用し,生体アミンの作用を活用して排ガス中のCO2と反応させ,炭酸カルシウムとして固定するプロセスの実用化と普及を目指した技術 |
中期 |
・CO2固定化技術の確立によるCaCO3の販売機会の獲得 ・CO2リサイクルによるクレジットの創出 |
中 |
|
低炭素エネルギー源の利用 |
「低炭素エネルギーで作られた塩」の需要の増加 |
中期 |
自家発電設備を石炭からバイオマス等低炭素エネルギーへの切り替えによる販売機会の獲得 |
小 |
エア・ウォーターグループでは、経営の健全性・安定性を確保しつつ企業価値を高めていくために、業務やリスクの特性に応じてリスクを適切に管理し、コントロールしていくことを経営上の重要課題の一つとして認識し、リスクマネジメント体制を整備しております。
エア・ウォーターグループは、全社的なコンプライアンス、保安防災、環境保全および人権に関わるリスクについては、「コンプライアンス室」が統括部門として「リスクマネジメント検討会」を定期的に開催し、グループ全体におけるリスク管理体制の強化を推進しています。また、気候変動関連リスクについては、「カーボンニュートラル推進室」がTCFDの推奨するシナリオ分析の手法に基づいて、事業グループのTCFD推進責任者と共に評価・分析する体制としています。
それぞれ統括部門は、重要リスクおよび戦略・対策案について最高経営委員会及び取締役会に付議・報告することで全社のリスクマネジメントプロセスに統合する体制をとっています。
一方、事業グループ、事業ユニットでは、事業に関連するリスクの抽出・検討を行い、事業への影響度の大きい重要リスクを特定し、3か年毎の中期経営計画策定時や年度ごとの年度活動計画に具体的な戦略・対策を立案し、計画の進捗管理によりリスク管理を行っています。
リスクマネジメント体制
1)温室効果ガス(GHG)排出量
エア・ウォーターグループでは、気候関連に係るリスクと機会を測定・管理するための指標として温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1,2,3)を算定しています。GHG排出量の算定にあたっては、2020年度からGHGプロトコルに基づいた算定をしています。
<温室効果ガス排出量>
(千t-CO2e)
項 目 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
エネルギー起源CO2(国内) |
2,115 |
2,341 |
2,031 |
2,123 |
Scope1:燃料の燃焼による直接排出 |
675 |
691 |
336 |
322 |
Scope2:他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出 |
1,440 |
1,650 |
1,695 |
1,801 |
エネルギー起源CO2(海外) |
749 |
750 |
794 |
805 |
Scope1:燃料の燃焼による直接排出 |
33 |
23 |
26 |
27 |
Scope2:他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出 |
716 |
727 |
768 |
778 |
その他のGHG(非エネルギー起源CO2、メタン、N2O等)の排出 |
255 |
350 |
211 |
200 |
(Scope1+Scope2計) |
3,119 |
3,441 |
3,036 |
3,128 |
GHG排出原単位(GHG排出量/連結売上収益) t-CO2/百万円 |
3.87 |
3.87 |
3.02 |
3.05 |
※速報値
注1)2022年度以降は旧エア・ウォーター&エネルギア・パワー山口㈱は連結対象外のため算定対象に含めておりません。
2)GHG排出量の削減目標
エア・ウォーターグループは2021年10月、「エア・ウォーターグループ環境ビジョン2050」を制定しました。その中で掲げている脱炭素社会の実現に向けて、2050年までに自社の事業活動でのカーボンニュートラルの実現とサプライチェーン全体でのGHG削減に取り組むとともに、脱炭素ビジネスにより社会に環境価値を提供していきます。環境ビジョン2050の制定を契機に、そのマイルストーンとなる2030年度のGHG削減目標※を2020年度対比で30%削減することを目標としています。
※国内連結子会社のエネルギー起源CO2が対象
3)GHG排出量の削減状況(2023年度実績)
2023年度のGHG排出量は、バウンダリーの構造的変化、製造プロセスの省エネ、再エネの導入および事業成長による増加などにより、国内エネルギー起源CO2において基準年度比で0.4%増となっております。
4)エネルギー種別およびScope別のGHG排出量
GHG排出量のエネルギー種別について、当社グループは産業ガスを製造する工場において原料空気から酸素・窒素・アルゴンを分離・精製するために、多くの電力を使用しており、GHG排出量(Scope1,2)のうち、電力使用が8割以上を占めています。また、Scope別ではScope3が最も多く、サプライチェーン排出量の約6割を占めています。