人口約14億人、経済成長を加速させ躍動感あふれる国・インド。エア・ウォーターは、インドを注力エリアのひとつとして、積極的な海外展開を行っていることをご存じでしょうか。

 

インドは、豊かな鉱山資源と注目度の高まる産業基盤を備えていることから、ますます大きな可能性を秘めた市場となっています。子会社のエア・ウォーター・インディア(Air Water India Private Limited)は、2019年から国内で豊富な実績を有する鉄鋼向けオンサイト供給事業と東部・南部エリアでローリー・シリンダー事業を展開。鉄鋼、自動車、建設・インフラなど急成長を遂げる産業分野に向けて、高品質な産業ガスを提供し、インドの経済成長と共に発展していくビジネスパートナーとして、存在感を発揮しています。

高いポテンシャルをもつ鉄鋼需要の拡大を見据えて

鉄鋼向けオンサイトプラント
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鉄鋼向けオンサイトプラント

エア・ウォーター・インディアは、産業ガスの事業領域として川上分野に当たる大型深冷空気分離プラントによる産業ガス(酸素、窒素、アルゴン)の製造機能を有し、インド国内で1位、2位にあたる鉄鋼メーカーへガス供給を行っています。インドは、鉄鉱石や石炭が産出されることから、2018年には日本を抜き、世界第2位の粗鋼生産国となっています。さらに、インド政府は2030年を目標に粗鋼生産能力を3億トンにするという目標を掲げており、各地で製鉄所の新設プロジェクトが立ち上がっています。

メンバー間で改善提案に取り組む
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メンバー間で改善提案に取り組む

そこには、高温で鉄鉱石を溶かすための酸素が必要─すなわち産業ガスの需要が高まります。エア・ウォーター・インディアでは、「鉄鋼向けオンサイトガス供給案件の新規獲得」を基本方針のひとつに掲げ、大規模プラントの製作体制を整備するなど、大量のガスを常時欠かすことなく供給する準備を整えています。また、技術面に留まらず、従業員間の文化的融合や思考プロセスの革新を進め、生産性の向上を追求しています。

きめ細やかなソリューションサービスを目指して

新たに液化ガスプラントを新設するチェンナイ工場
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新たに液化ガスプラントを新設するチェンナイ工場

もうひとつの基本方針が「産業ガスの事業インフラの拡充によるサプライチェーン構築」です。産業ガスは、お客様の使用条件に合わせ、シリンダーやタンクローリーなど最適な供給方法でお届けする必要があります。増加を続けるインド国内の産業ガス需要に対し、きめ細やかなソリューションサービスを展開するため、充填所や液化ガス製造拠点を戦略的に設置し、インドにおける産業ガスメーカーとしての確固たるポジションを獲得することを目指しています。2023年末には、これまで未進出であった北部ファリダバード近郊に充填所が稼働、さらに2024年10月には南部の主要都市・チェンナイに液化ガス製造プラントが稼働する予定です。

グルガオンには日本人スタッフも駐在
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グルガオンには日本人スタッフも駐在

また、豊富な経験と専門知識を活かし、お客様のビジネスパートナーとして価値のある関係を築くことも大切です。日本で優れた技術やビジネスモデルをもつ会社が、インドで新たなビジネスを切り拓いていくサポートができるよう、日系企業が多く立地する首都近郊のグルガオンに営業拠点を設けました。東部のコルカタ本社、南部のチェンナイ及びバンガロールに続く、インドで4ヵ所目のオフィスです。エア・ウォーター・インディアには、日本人が10名駐在しており、経済成長の真っただ中の熱気に包まれて、日夜、ビジネスの開拓に挑んでいます。

持続可能な発展に寄与するための取り組み

(左)ギリ総領事(右から3人目)が当社を訪問   (右)在コルカタ日本総領事(右から1人目)より表彰を受ける
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(左)ギリ総領事(右から3人目)が当社を訪問   (右)在コルカタ日本総領事(右から1人目)より表彰を受ける

コロナ禍でインドの医療用酸素が不足した際には、プラントを一日も止めることなく平常時以上の稼働率で生産を続け、周辺の病院に医療用酸素の供給をしました。インド政府を代表して在大阪・神戸インド総領事館のニギレーシュ・ギリ総領事より、現地でのガス供給や日本からの酸素濃縮器の寄贈に謝辞をいただくと同時に、日本政府を代表して在コルカタ日本国総領事からも、多くの患者の命を救い日本とインドとの相互理解と友好親善に寄与したとして表彰を受けました。経済・ビジネスだけでなく、日印関係の友好親善や緊密なパートナーシップの構築にも取り組んでいます。

 

また、インドは、中国、米国に次ぐ世界第3位のエネルギー起源CO2排出国であるため、環境に配慮した製品を提供することも重要なポイントです。チェンナイに設置予定のプラントは、年間使用量の40%に相当する電力について、太陽光など再生可能エネルギーの導入を計画しています。これにより、非再生エネルギーを100%利用する場合に比べて約35%のCO2削減が見込まれます。

 

さらに、地域への貢献にも力を入れており、質の高い教育や安全な水、衛生的環境を整えることを目的としたCSR活動を多数展開しています。例えば、コルカタにある障がい者のための社会福祉団体「Voice of World」に寄附したところ、同団体で支援している約300人の市民に日用品を提供できました。寄附金は、2020年5月にインド東部を襲ったスーパーサイクロン「アンファン」による被害があった学校の屋根の修繕に使われました。

エア・ウォーター・インディアで働く従業員
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エア・ウォーター・インディアで働く従業員

エア・ウォーター・インディアの事業展開は、インドの経済成長に寄与するだけでなく、新たな雇用機会の創出や地域経済への貢献など、社会全体にも好循環をもたらしています。今後も、持続可能な成長と共に夢を追い続けるインドの未来を支える一翼を担っていきます。

更新日:2023年7月