エア・ウォーターが出展するカーボンリサイクルファクトリーの「地球の恵みステーション」
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エア・ウォーターが出展するカーボンリサイクルファクトリーの「地球の恵みステーション」

 

いよいよ4月13日に開幕した「大阪・関西万博」。華やかな展示を陰で支えるバックヤードエリアで、脱炭素に向けたカーボンリサイクルの最新技術の実証が行われていることはご存知でしょうか? 

 

※こちらは、エア・ウォーターの「大阪・関西万博」への参画プロジェクトを紹介する第3回目の記事です。第1回目と第2回目はこちらをご覧ください。

第1回:2025年大阪・関西万博で“未来の暮らし”を体験しよう! エア・ウォーターが「ネオライフスタイルLDK」を出展

第2回:大阪の新名物!?ロボットが作る新感覚の「ミライのミックスドリンク」

回収したCO₂を合成メタンの原料やドライアイスに活用

大阪・関西万博の目玉の一つである「未来社会ショーケース事業」は、万博会場を未来社会のショーケースに見立て、先進的な技術やシステムの実証・実装を行い、未来社会の一端を実現するもの。いわば、未来を感じさせる次世代技術が集結します。

 

そのうち「グリーン万博」は脱炭素が達成された社会に向けた先進的な技術を体験でき、万博開催中や閉会後に発生する廃棄物の削減とリユース、リサイクルに取り組んで持続可能な社会を実現するものです。

 

大阪・関西万博では、2050年にカーボンニュートラルが達成された社会に実装されるべき先進的な技術を来場者の皆さまに体験してもらうことに注力しています。

 

グリーン万博では会場のバックヤードに「カーボンリサイクルファクトリー」というエリアを設置。様々な企業や研究機関、大学が開発したCO₂排出削減や回収装置などのカーボンリサイクル技術を、単なる展示ではなく実際に装置を稼働させることにより、万博で発生するCO₂削減に寄与しています。大気や排気ガスからCO₂を回収し、メタネーション技術を用いて会場内の給湯設備や厨房で燃料として使用しているのです。

 

メタネーションとは水素とCO₂からメタンを合成する技術で、ガスの脱炭素化を目指しています。メタンは燃焼時にCO₂を排出しますが、メタネーションの原料として施設や工場、発電所などから回収したCO₂を利用すれば、燃焼時のCO₂は回収したCO₂と相殺されるため、大気中のCO₂量は増加しません。CO₂排出量は理論上ゼロになるのです。

「地球の恵みステーション」でCO₂が排ガスから回収され、リサイクルされるまでの流れ
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「地球の恵みステーション」でCO₂が排ガスから回収され、リサイクルされるまでの流れ

 

エア・ウォーターは長年培ったガス製造・エンジニアリング技術や、ドライアイス国内トップシェアメーカーとしての知見を活かし、カーボンリサイクルファクトリー内にある「地球の恵みステーション」で最新技術の実証を行っています。

 

その内容は、次世代のCO₂吸収材「Na-Fe系酸化物」を使用して万博会場内の排気ガスから低圧・低濃度のCO₂を効率よく分離、回収。それをCO₂液化設備「ReCO₂ STATION」で気体から液体にして純度を高めます。

 

こうして回収したCO₂は大阪ガスのメタネーション実証設備「化けるLABO」に供給され、メタネーションの原料として活用されます。また、一部でドライアイスを製造し、万博会場内で冷却材として有効活用します。

CO₂回収フロー図
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CO₂回収フロー図

2030年、CO₂回収量を現状の3倍超に

地球の恵みステーションは、埼玉大学と戸田工業が共同開発した新規CO₂吸着材「Na-Fe系酸化物」を用い、エア・ウォーターのガス製造・エンジニアリング技術を注ぎ込んだ次世代型のCO₂回収装置です。

CO₂回収装置イメージ
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CO₂回収装置イメージ

Na-Fe系酸化物はCO₂を脱離する際に、設置する工場や施設にボイラなどの追加熱源が必要なく、低コストで導入できるという特徴があります。

 

カーボンリサイクルファクトリーでの実証を経て、エア・ウォーターは低コストの次世代型CO₂回収設備を本格展開し、2030年に年間のCO₂回収量を現状の3倍超の100万トンに拡大する計画を立てています。工場などを持つ企業のカーボンニュートラル化に貢献しようというものです。

 

現代の日本では、脱炭素社会の実現に向け、大規模発電所などに大型のCO₂回収装置が設置されるようになりました。そうした潮流にある中、特にニーズが高まっているのが、一般工場の燃焼排ガスをはじめとする低純度のCO₂回収です。工業用ボイラからのCO₂排出量は年間約1,800万トンと推定されており、削減効果も大きなものになります。エア・ウォーターは汎用性の高いボイラ由来の排ガスをターゲットとした低濃度のCO₂を高効率に回収できる装置「ReCO₂ STATION」を2022年に開発しました。

 

「地球の恵みステーション」は見学可能です。一般の方々が、こうした装置を普段の生活で目にする機会はほとんどありませんが、万博開催中はCO₂回収が実装されている姿を、実機を前にして目にすることができます。

   

見学ツアーの予約はこちらから行えます。

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更新日:2025年4月