エア・ウォーターは、新入社員を対象にアメリカやインドでの海外研修を2024年度からスタートしました。語学力などのスキル習得はもとより、グローバルビジネスの最前線で必要となるマインドの醸成を図るものです。
「人を活かす経営」を推進するエア・ウォーターは、全社成長のけん引役と位置付ける海外事業の発展を目指しており、3カ年で150人のグローバル人材を育成するという目標を掲げ、人的資本投資を強化しています。
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- アメリカ現地法人での研修の一環として、実際のガス供給設備を視察する新入社員たち
2024年度、38名を対象とした新入社員研修は、将来のエア・ウォーターグループの経営人材として、事業・業界の理解を深めるとともに、グローバルで活躍するためのマインドを身に付けることを主な目的としています。
新入社員は3つのグループに分かれ、「ガス技術実習」「アグリ&フーズ実習」「グローバルミッション達成研修」の3カテゴリーの研修を2~3か月ごとにローテーションしました。
<2024年度 研修スケジュール>
4-6月 |
7-9月 |
10-12月 |
翌1-3月 |
翌4月 |
集合研修 (社会人基礎) |
アグリ&フーズ実習 |
ガス技術実習 |
グローバルミッション 達成研修 |
本配属 |
※上記スケジュールは1グループの例です。他のグループも、3つの研修を異なる順番でローテーションし、すべての研修を終えたのち、翌4月に本配属となりました。
ガス技術はエア・ウォーターの祖業であり、競争力の源泉でもあります。新入社員はプラント・機器開発センターや各工場を見学し、基幹事業の基礎を学びました。
アグリ&フーズ実習は北海道の農園や陸上養殖プラント、地産地消エネルギーによる資源循環モデル施設で長野県に建設中の「地球の恵みファーム・松本」などで実習を行いました。
そして、グローバルミッション達成研修(海外研修)では、アメリカで語学力を高めながら、課題解決にチャレンジするプログラムを実践。さらに9名にはインドでの現場研修を行いました。
海外研修は大きく4つのプログラムで構成されています。
1. 語学研修
2. 現地実業家からの課題の取り組み
3. 海外現地法人の課題の取り組み
4. 成果報告会
まずは語学学校で8週間、英語を学習。宿泊先は学校の寮で、世界各地から集まった学生や社会人などと同じ部屋で過ごします。エア・ウォーターの新入社員同士は同室にならないため、必然的に多文化コミュニケーションが求められ、多様な価値観を学ぶことができるのです。
語学学習と並行して、現地の実業家とビジネスに関わる課題に取り組みます。「飲食店や自治体への意識調査で、フードロス削減に必要なデータを集めよ」「あるジャズシンガーが米国内で知名度を高めるにはどのようにすればよいか」などテーマは様々。新入社員は2週間程度で資料をまとめ、実業家の前でプレゼンテーションをします。これを5回繰り返しました。
その後、エア・ウォーターグループのアメリカ現地法人・インド現地法人の課題に対しても、3週間取り組みました。「現地法人の事業展開に貢献し、将来市場を担うグローバルなビジネスパーソンになるために必要なことは何か?」などのテーマを設け、プレゼンテーションをしました。
研修を終えて帰国をすると成果報告会を開催。エア・ウォーターの松林社長に研修の成果を報告しました。


研修報告会の様子
海外研修を受けた新入社員からは、以下のような感想が聞かれました。
「自分の意見を出さなければならない場面が多く、主張する行動パターンが身に付いた」
「タフな仕事への向き合い方や工夫を知ることができた」
「駐在員の方々は主体性や積極性、バイタリティが高く、キャリアプランを考える上でロールモデルになった」
3ヶ月と短期間ではありながら、仕事への向きあい方や積極性、キャリアプランの描き方に変化が見られ、意義深い取り組みとなりました。研修を受けた新入社員の中には、インド駐在を強く希望し、関連部署に初期配属したケースもあります。
海外の現場に飛び込んでグローバルなマインドを醸成し、英語のスキル習得も図るという目的を果たすことが出来たと考えています。
2025年度以降も新入社員研修において海外研修を実施していきます。

エア・ウォーターは力強く成長しているインドと北米を中心とした、海外展開に注力しています。それが急ピッチでグローバル人材の育成を強化している背景でもあります。
世界第2位の粗鋼生産国として知られているインドでは、現地法人エア・ウォーター・インディアが同国内で1位、2位にあたる鉄鋼メーカーにガス供給を行っています。インド政府は2030年に粗鋼生産能力を3億トンにするという目標を掲げており、製鉄プロセスにおいて必要不可欠な産業ガスの需要も高まっているのです。
アメリカにおいては、エア・ウォーター・アメリカを中核とし、プラントの建設と販売ネットワークの構築、ガス供給インフラの活用により、産業ガスの川上から川下まで一気通貫のサプライチェーンを構築中。アメリカは鉄鋼や自動車、半導体などのエレクトロニクス産業のほか、食品、バイオサイエンスなどの先端技術分野が集積しています。産業ガスの新しい用途が日夜生み出されている、世界有数の市場なのです。
海外事業においては、駐在員と現地社員が常に協力しあい、文化融合や思考プロセスの改革を進めたうえで、生産性の向上を図る取り組みが欠かせません。
エア・ウォーターグループの持続的な発展の原動力は、「人材の成長と活躍」です。新入社員への海外研修という取り組みを行いましたが、国際的な人材として成長し、活躍してほしいという願いが込められています。
これからも、従業員が自立的にキャリアを開発できる体制・風土を整え、自ら学んでいくことのできる機会を提供していきます。
更新日:2025年6月