あらゆるものづくりで使われ、私たちの暮らしに欠かせない産業ガス。エア・ウォーターグループの産業ガス事業の使命は「安定供給」です。今回は、安定供給を実現する陰の立役者「遠隔監視・支援センター」を紹介します。
「遠隔監視・支援センター」では、海外を含む約150基の産業ガス製造プラントの運転状況を一元的に24時間体制、リアルタイムに監視しています。2016年、産業ガスの安定供給体制を一層強化するためにセンターを設置。こうした取り組みは国内初です。遠隔監視によって平常時に見られない兆候を確認したり、プラントに故障が発生した際は、現地のメンテナンス担当をはじめ関係者と連携し、早期対応できる支援体制を構築しています。
遠隔監視対象の当社プラントの大半は、常に大量の産業ガスを必要とされるお客様の工場敷地内や隣接地に設置されています。遠隔監視・支援センターがあることで、お客様にとって「エア・ウォーターがいつもプラントの状況を確認している」「何かあったらすぐに対応してもらえる」という安心感につながっています。万が一これらのプラントにトラブルが発生した場合でも、北海道から九州まで全国22拠点に設置された、当社独自の高効率小型液化酸素・窒素製造装置「VSU」によるバックアップ体制が整っており、いかなる時にも安定供給を果たしています。
プラントのデータは常に記録されており、遠隔監視・支援センターで抽出、整理し、メンテナンス部門や設計部門に共有。各部門が協力しあい故障回数や故障による停止時間が低減できるよう日々知恵を絞っています。
こうした日々の積み重ねにより、各プラントで重点的にチェックすべき箇所や部品の最適な交換頻度が明確になり、故障回数の減少につなげることができています。また、故障ごとの対策が確立できたことで故障発生から補修、再稼働までの時間が大幅に短縮しました。
実際にシステム導入時点(2016年度)と比べ2022年度のプラントの故障回数は約4割減少、停止時間は約8割減少しています。
「遠隔監視によって、プラントの不具合は確実に減少しています。一方で、監視するプラント数は年々増え、収集・蓄積するデータ量も膨大になっています。これらのビッグデータをさらに活用するとともに、AIなど新たなデジタル技術も駆使し、不具合の予知やメンテナンス周期の最適化などに生かして、プラントの生産性向上につなげたいと考えています。デジタル技術から得られた結果を判断して活用方法を決めるのは私たちヒトの役割です。そのために、デジタル技術に対応できるDX人材の育成をはじめとしてセンター員の専門性の向上にも注力するなど、技術の活用と人の成長の両方を実現し、遠隔監視・支援センターとして産業ガス安定供給へのさらなる貢献ができるよう取り組んでいきます」
更新日:2023年10月