超高齢社会の進展に伴い、人々がより健康で自立して生活できる期間を寿命とともに延ばすこと(いわゆる健康寿命の延伸)が社会的な課題となっています。こうした中、エア・ウォーターグループは、「ウェルネス(健やかな暮らし)」の実現を目指し、人々のくらしやヘルスケアにかかわる事業領域を拡大しています。

 

今回は、その中でも50年以上の歴史を誇る注射針のスペシャリスト、ミサワ医科工業をご紹介します。ミサワ医科工業は国内では数少ない注射針を一貫生産するメーカーです。針の製造から組み立て、パッケージ、滅菌までを全て自社で行い、万全の管理体制で高品質な製品を提供しています。中でも、針加工に高い専門性を持ち、その技術と品質は世界で認められ今日では世界80ヵ国に注射針を供給しています。

 

数々のシーンで活躍する多様な注射針

ミサワ医科工業が生産する注射針
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ミサワ医科工業が生産する注射針

予防接種や採血、麻酔など、健康を維持するために「注射」は不可欠な存在です。さらに、点滴、透析、生検、髄液採取、腹水の排出、そして人工授精用の採卵など、実に多くのシーンで「注射針」が使われています。身体のどこかに刺して使うパイプ状のものは全て注射針のカテゴリー。まさに、体と外界をつなぐ“パイプ役”を果たしているといえます。

2020年に移転新設した本社工場(茨城県笠間市)
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2020年に移転新設した本社工場(茨城県笠間市)

注射針は歯科用、美容用、動物用なども含め、世界で年間約700億本の需要があり、日本で生産される約120億本のうち約110億本が海外に輸出されています。

ミサワ医科工業では年間約20億本の注射針を製造しており、そのうち8割を海外に輸出しています。

注射針の需要は世界的に高まっており、開発途上国の生活水準向上に伴う医療の普及により、予防接種や治療などに使う注射針を大量に必要とする国や地域が増え、注射針事業の成長性、国際性は今後ますます増大していきます。

注射によるストレスを減らしたい! 創業から受け継がれる注射針への想い

ミサワ医科工業は、創業時より「患者さまにとって“よい針”を作りたい」という考えのもと、“痛くない注射針”の製造を目指してきました。
刺す部位に応じた針先の研磨加工や、スムーズに針が入るように針の表面をシリコンオイルでコーティングする加工など、患者さまが注射する際の負担を最小限に抑えるために、様々な工夫を重ねてきました。同時に、針の加工・量産技術を磨き、高度な注射針を大量生産する能力も培ってきました。

現在、ヒアルロン酸の注入などアンチエイジング治療に使用される美容針「J-カニューレ」の改良版を開発中で、2023年11月の発売を予定しています。
粘土性のあるヒアルロン酸を注入しやすいように針の形状を変更。加えて、貴重なヒアルロン酸を残さずに注入できるように、針先の穴の位置を先端に近づけ、デッドスペースを最小限にするなどの改良を行いました。

ミサワ医科工業株式会社
酒井 智寛社長
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ミサワ医科工業株式会社
酒井 智寛社長
美容針「J-カニューレ」改良版の特長
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美容針「J-カニューレ」改良版の特長

今後も患者さまに寄り添い、“痛くない注射針”を目指すことで世界中の人々のQOL(生活の質)向上に貢献していきます。

 

更新日:2023年6月