今、日本では「2025年問題」と呼ばれる超高齢化への対応が求められています。団塊の世代が75歳以上となる2025年、国民の5人に1人、約2200万人が後期高齢者という超高齢社会を迎えます。医療や介護サービスの利用者急増に対し、医師や看護師、医療スタッフなどの人手不足がますます深刻となり、加えて、社会保障費の増大も進み、医療機関の業務効率化が急務となっています。

私たちエア・ウォーターグループは、「ウェルネス(健やかな暮らし)」の実現を目指し、ヘルス&セーフティー事業を展開。医療機関が必要とする医療ガスや設備・機器、衛生材料などに加え、病院業務をサポートする幅広い事業を行っています。その中で手術や診察で使用されるさまざまな医療器材を、衛生的に使用するために欠かせないのが洗浄・滅菌業務です。私たちは1996年の札幌滅菌センター開設を皮切りに、滅菌ガスのトップシェアメーカーとしてガスと関連機器に長く携わり、培った技術やノウハウ、全国に広がるグループのネットワークを活かした医療器材の洗浄・滅菌処理の代行で医療現場を支えています。

※出典:ガスレビュー「ガスジオラマ2023」

手術や診察に欠かせない「滅菌」を担い、医療現場を支える


「滅菌」とはその名の通り菌や微生物などを死滅、または完全に除去された状態にすること。医療機関では手術や診察などの医療行為に欠かせないものとして、はさみやピンセットなどさまざまな医療器材が使用されています。これら使用済みの医療器材を次の患者さまにも安全に使用できるよう、確実な洗浄・滅菌処理が求められます。代表的な滅菌の方法には、「酸化エチレンガス」を用いた滅菌や「高温・高圧蒸気」を用いた滅菌があり、私たちは滅菌ガスメーカーの知見を活かしながら、器材に合わせて適切な方法を選択・実行しています。

こうした洗浄・滅菌は、従来、病院内で医療スタッフが行っていましたが、深刻な人手不足や院内感染予防の観点から洗浄・滅菌業務のアウトソーシング需要が高まっています。エア・ウォーターグループでは、使用後の医療器材を洗浄、乾燥、組立、包装、滅菌するサービスを提供しています。
医療機関内に専門スタッフが駐在して滅菌処理を行う「院内型受託滅菌サービス」と、院外の滅菌専用施設で滅菌処理を行う「院外型受託滅菌サービス」を中心に展開。滅菌・消毒は厚生労働省令で定める基準があり、私たちはその基準を満たしていることを証明する「医療関連サービスマーク制度」の認定を受けています。そしてエア・ウォーターグループ内には滅菌管理士の資格を持つスタッフが多数所属し、徹底した品質管理のもと医療機関で働く皆さまが、安心して手術や診察などの医療行為や、患者さまのケアに専念できる環境づくりをお手伝いしています。

国内最多、全国23ヶ所の滅菌センターで地域に密着したサービスを展開

エア・ウォーターグループは北海道から沖縄まで国内最多、23ヶ所の滅菌センターを運営しています。医療機関の中で行われている洗浄・滅菌処理をセンターで行うことにより、業務効率化はもちろん、病院内の設備やスペースを最小限にすることができ、設備投資・保守・管理コスト削減を実現。また、空いたスペースに手術室やICUを確保できるなど病院経営の効率化が期待できます。滅菌センターでは専門知識と技術を持つスタッフが安全で確実に滅菌を行い、病院の信頼性向上にも貢献します。全国に広がる滅菌センターを持つメリットは、万が一、広域災害が起きた場合には近隣のセンター間で相互にバックアップできること、さらに院内滅菌でトラブルが発生した場合は、センターがバックアップとして機能し、BCP(事業継続計画)対策に貢献できることです。エア・ウォーターグループでは配送も行っているので、緊急時の滅菌から配送までを柔軟でスピーディーに対応できる体制を構築しています。こうした地域に密着したサービスを通じて、今後も医療機関の業務効率化をサポートするとともに人手不足の解消に寄与し、安全で衛生的な医療現場を支えていきます。

医療器材を運搬する滅菌専用トラック
拡大
医療器材を運搬する滅菌専用トラック
緊急時の滅菌から配送まで柔軟に対応可能
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緊急時の滅菌から配送まで柔軟に対応可能

歯科医院向け滅菌済み医療器材レンタルサービス「きざいらず」を沖縄でもスタート

エア・ウォーターグループは、滅菌済み歯科基本セットのレンタルサービス「きざいらず」を全国で展開しています。このサービスは歯科医院で治療に使用したミラーやピンセットなど、基本的な処置器材4~6点を回収・滅菌し、パッケージで歯科医院へお届けするものです。器材+いらずで「きざいらず」。サービス名が表す通り、処置器材のメンテナンスや補充も私たちが対応し、常にメンテナンスの行き届いた医療器材をご用意しています。

沖縄でも県内初となる滅菌センター建設をきっかけに、2022年10月から同サービスをスタートしました。導入された医院さまからは、「歯科衛生士は育児中のスタッフも在籍する中、時間外業務の削減につながり、多様な人材が働く環境を整えられた」「診療の合間に洗浄作業をする心配がなくなり、より患者さまに集中できるようになった」「院内の水道光熱費が削減され、滅菌機の設置スペースを他の用途に展開できた」などの声が寄せられています。

私たちはこのサービスを通じて、沖縄県下の歯科医院で働く医療スタッフの皆さまが診療に集中でき、働きやすい環境を創出するとともに、衛生的な医療器材の提供を通じて、患者さまの健やかな暮らしを支えていきます。

更新日:2023年11月