北海道・恵庭工場に「無菌常温充填ライン」を新設

エア・ウォーターグループのゴールドパック 恵庭工場(北海道恵庭市)は1998年に操業を開始しました。古来より清冽な水が湧き出る恵庭には飲料関連企業が連なり、容器、包装資材、物流などの業種と連携をとりやすい立地が恵庭工場の利点です。生産設備は、炭酸飲料を中心に、各種ペットボトル飲料に対応した生産ラインや野菜・果実の搾汁ラインはもとより、減圧状態にて加熱することで原料に含んだ水分の沸点を下げ、低い温度で原料を濃縮できる真空低温濃縮装置などを備え、飲料メーカーのさまざまなニーズに応じた質の高いOEM生産を行ってきました。

    
近年、清涼飲料業界での課題の一つが、物流や容器などにかかるコスト増への対策です。人件費・物流費の高騰や天候不順による原材料価格の上昇など、製造コストの負担が増しており、それらへの対応が経営課題になっています。加えて、北海道内においては、販売される飲料の約4割が本州から移送されていたため、物流費や輸送に伴うCO2排出量の削減が課題となっていました。

新ラインにより生産能力が1.5倍、道内の飲料需要に対応

こうした中、ゴールドパックは2020年2月、恵庭工場に無菌常温充填ラインを新設し、稼働を開始。この新ラインは17種の容器容量、5種の液種に対応でき、生産品目の切り替え時間も別工程の同時進行やボトル形成から飲料充填までの連続化によって大幅に短縮し、多品種高効率での飲料生産を実現しました。

 

従来のホットパックラインの生産能力は1分間に500ml ペットボトルで400本。これに対し、事前に滅菌された内容物を無菌環境の下で滅菌済の容器に常温で充填する「無菌常温充填」ラインの生産能力は、その1.5倍の600本となったことで、飲料メーカーからの道内販売分の生産要請に着実に応えることが可能になりました。

恵庭工場内のペットボトルの生産ライン
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恵庭工場内のペットボトルの生産ライン

”プリフォーム”でペットボトルのプラスチック使用量を削減

新ライン導入以前は容器メーカーが成型したペットボトルを工場まで運んでいました。しかし、物流や容器コストの削減を図るため、新ライン内では小型試験管のような形をしたペットボトルの原型である”プリフォーム”と呼ばれる透明な樹脂素材を空気で瞬時に膨らませ、金型に合わせたペットボトルを作ることができるようになりました。


無菌常温の充填環境下では、プリフォームを加熱ブロー成型することで薄いペットボトルを製造。この工程でペットボトルのプラスチック使用量を従来の半分程度に抑えられ、さらにはキャップやラベルの軽量化も可能です。このように、重量・体積の両面から容器の輸送コストを低減すると同時に、プラスチック使用量の大幅な削減を実現しています。

ゴールドパックでは、今後も環境に配慮した飲料生産の在り方を希求し、道内の飲料需要に貢献していきます。

 

掲載日:2022年2月