私たちは、普段意識することなく、当たり前に呼吸をして生活しています。しかしながら、様々な疾患により肺の機能が低下し、呼吸がうまくできない状態が長期間続く場合は、外から酸素を補う治療が必要です。こうした治療は「在宅酸素療法(Home Oxygen Therapyの頭文字でHOT(ホット))」と呼ばれ、保険適用の対象となっています。以前は酸素を吸うために長い間入院生活を送らなければなりませんでしたが、現在では、機器・システムの発達により、自宅療養が可能となりました。
これにより、慢性呼吸不全や肺高血圧症などの患者さまが、家庭で酸素を吸いながら生活できるようになることで、家族と過ごすことはもちろん、外出や旅行もできるようになりました。現在、約17万人以上の方が在宅酸素療法を実施しながら生活しています。 

 

長年の事業活動において、治療の質や患者さまのQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を後押してきました。これらの取り組みは、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」と重なります。

私たちが支えたいのは、患者さまのありふれた日常生活

酸素濃縮装置はかつて、大きくて重い装置であったため部屋の隅に置かれることが多く、せっかく自宅療養ができるようになっても、患者さまはチューブが届く範囲でしか移動することができませんでした。エア・ウォーターでは、「QOLを高め、患者さまの暮らしを取り戻す」という熱い想いを持つ社員が集い、新たな装置開発に挑みました。

 

2015年1月に登場した在宅酸素濃縮装置は、「軽量」「コンパクト」「スムーズな移動性」を実現した、装置自体を持ち運びながら使うことができる画期的な製品となりました。患者さま一人ひとりの生活に溶け込み、その方らしい治療スタイルを可能にし、多くの方に利用されています。

停電や災害時不安にならないサポートを 患者さまの快適な日常のために

バッテリーが内蔵されているこの酸素濃縮装置は、不意の停電や災害時にも一定時間酸素を供給し続ける安心設計です。2018年9月の北海道胆振東部地震で、全道が長時間にわたる大規模停電に見舞われた際には、グループ各社が連携し、すべての在宅患者さまのもとへ携帯用酸素ボンベをいち早くお届けしました。

 

超高齢社会の進展に伴い、「住み慣れた環境で療養したい」と願う患者さまの声は多く、「在宅医療」の充実はますます求められています。エア・ウォーターはこれからも在宅医療の進歩に貢献できる、画期的な製品開発やサービスの拡充に努めていきます。

 

公開日:2020年10月

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