「0.1秒」の極短い時間であっても、電源供給に異常があると、多くのコンピュータや電子機器が影響を受け、データセンターの運営に大きな損失を与えてしまいます。地球温暖化の影響で異常気象が増え、電圧降下や停電などのリスクが高まる中、こうした電源トラブルが発生した際にも常に安定した電源供給を維持し、大事なデータを守るのがUPS(無停電電源装置)です。


産業ガスをはじめとして、人々の暮らしや産業に欠かせない製品・サービスを提供してきたエア・ウォーターは、高出力UPS事業を通じて、デジタル社会において不可欠なデータセンターを支えています。

高出力UPS事業を通じて、デジタル社会に不可欠なデータセンターを支えています
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高出力UPS事業を通じて、デジタル社会に不可欠なデータセンターを支えています
数多くの電子機器が稼働するデータセンター、電源供給のわずかな乱れでシステム障害に至ることも
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数多くの電子機器が稼働するデータセンター、電源供給のわずかな乱れでシステム障害に至ることも

UPSとは

UPS(Uninterruptible Power Supply=無停電電源装置)とは、電圧低下や停電などの電源異常が発生した際に、一定時間電源を安定して供給し続けることで、機器やデータを保護する装置。エア・ウォーターグループの高出力UPSは、海外のデータセンターを中心として、半導体工場や大規模な病院、飛行場など様々な場所で使用されています。特に、データセンターでは、サーバやルーター、コンピュータ等の電子機器数多く稼動しており、常時システムが動いています。

停電や電源異常により、たった0.1秒であっても電源供給が乱れると、データセンター内のシステムがダウンし、重要なデータの損失や通信サービスが停止する可能性があります。万が一、銀行のシステムがダウンすれば、顧客の口座情報が消えてしまうかもしれません。ECサイトが使えなくなると企業は大打撃を受けることになるでしょう。こういった事態を未然に防ぐため、高出力UPSで電源の供給を維持しています。

拡大するUPS市場 

近年、クラウドサービスやIoT、生成AIなどの普及を背景としたデータセンターの新増設に伴い、UPS市場は年々拡大しています。エア・ウォーターグループは、2018年にエンジニアリング事業を手掛けるPower Partners社(本社:シンガポール)、2019年にメーカー機能を持つHitec社(本社:オランダ)をグループ化し、高い成長性が見込まれる高出力UPS事業に参入しました。海外において高出力UPS装置の開発・製造のみならず、システム設計から、施工、メンテナンスまで一貫して手掛けることで、安定電源供給を総合的に支えています。また、国内においても、グループ会社であるエア・ウォーター防災㈱がエンジニアリング事業を行っています。

 

システム設計から、施工、メンテナンスまで一貫して対応
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システム設計から、施工、メンテナンスまで一貫して対応


Hitec社は出力1,500kVA以上の高出力帯に適したロータリー式無停電電源装置(Dynamic Rotary Uninterruptible Power Supply:DRUPS)を製造しています。UPSにはバッテリー式とロータリー式があります。バッテリー式と比較すると、メンテナンスコストが最大60%低く、(※当社試算)、設置面積も最大45%低減可能といった優位性があります。加えて、ロータリー式で使われるフライホイールは25年と長寿命であり、7~10年毎にバッテリー交換が必要かつ廃棄物(主に鉛)が発生するバッテリー式と比較し、リサイクル率も高いため、廃棄物が少なく、環境負荷が低減されます。

 

電源の供給危機を乗り越える、ロータリー式UPSのメカニズム

では実際、電源異常が起こった際に、ロータリー式UPSはどのように電源を供給するのでしょうか。ロータリー式UPSは内蔵されているフライホイールを常に回し続けることで、24時間365日、いつでも電源供給できる仕組みになっています。落雷や台風、地震などによる電源異常が発生した場合、すぐにディーゼル発電機が起動し、3秒以内に定格運転に達し、約10秒でバックアップモードに移行します。この間の電源供給を行う動力源としてフライホイールが惰性で回転する力を利用することで、一瞬たりとも途切れることなく電源を供給し続けます。

 

電源供給を支える縁の下の力持ち

実際に、電源異常や停電によりUPSから直接電源供給が行われるのは年に数回に過ぎません。しかし、自然災害の激甚化・頻発化が進む中、予測が難しい電源異常による損失は計り知れません。エア・ウォーターグループの高出力UPS事業は、安定した電源供給でデジタル機器やデータを保護し、全てのユーザーに信頼と安心を提供しています。
今後も、さらなる需要の高まりが予想されるUPS市場。エア・ウォーターグループは旺盛な需要に対応し、高出力UPSの開発・製造からエンジニアリングまで総合的に電源供給を支えていきます。

更新日:2023年12月