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#02広がりを見せるVSU拠点
ガスの地産地消が切り開く地域と社会の未来

岩手県紫波町に設置した16拠点目となるVSUプラント

エア・ウォーター独自のガスプラントであるVSU。小型なフォルムでありながら、効率よく液化酸素と液化窒素を製造するプラントの名称だ。2019年現在、全国18拠点で稼働し、さらに数拠点の立ち上げを計画している。生産拠点からガスの需要地に対して近距離輸送を可能にした、新たな供給モデルの確立から見えるものとは。

産業ガスの供給方法を変えた技術革新

丸みを帯びた背の高い精留塔で酸素と窒素を分離・精製する

従来、産業ガスの供給は大型プラントで大量生産を行い、全国各地の需要地へタンクローリーで長距離輸送を行うことが一般的であり、小さなプラントでガスを製造しても、エネルギー効率が悪く生産コストが見合わないものとされてきた。しかし、エア・ウォーターでは、その常識を覆すことに挑戦した。「需要に見合うガスを生産する小型プラントを需要地近隣に設置し、大型プラントに匹敵する低コストで液化ガスを製造する」というコンセプトだ。開発チームは、長年培った技術と新しい発想をプラント設計に落とし込んだ。幾多の難題を乗り越え、高効率タービンや真空断熱方式の採用に至り、電力消費量を大幅に削減したプラントを世に送り出した。1号機は酸素600m3/h、窒素1,400m3/hという能力をもって、2004年4月、新潟県阿賀野市に設置された。

  • 2004年に設置したVSU初号機となる新潟液酸(株)
  • ベトナムでアルゴン併産が可能なVSUAが稼働

技術開発に終わりはない。深冷空気分離装置は、アルゴンの採取をもって技術が確立するものと言われる。開発チームはさらなる効率化に挑んだ。小型プラントで、空気中に約0.9%しかないアルゴンを取り出しても採算が合わないのが業界における常識だったが、新しいVSUプラントを設置するたび最新の技術を取り入れ続けた。その結果、1号機の設置から8年が経過した2012年には、アルゴンの安定採取が可能なVSUAが稼働を開始した。さらに2014年からは、ベトナムの地でもその能力を発揮している。

物流合理化と環境負荷低減を実現した革命的なガス供給モデル

VSU設置によるメリットは、大型プラントによる供給に比べて、ガスの輸送距離を大幅に短縮できる点にある。例えば、名古屋近郊にVSUを設置したことで、関西の大型拠点から長距離輸送が減少し、その距離は片道平均212kmから85kmへと短縮。車両への投資や物流費の低減になるばかりでなく、輸送に伴うCO2排出量が少なくなることで、環境負荷の低減にも大きく貢献している。VSUの設置に伴い削減されたCO2排出量は年間約3,000tにも達している。技術の革新が生み出したVSUは、コストと環境の両問題を一挙に解消するプラントとして、平成20年度資源エネルギー庁長官賞を受賞するなど、新しい時代のガス供給モデルへと飛躍を遂げた。

安定供給、省エネ、環境貢献を実現したビジネスモデル

  • VSUを拠点に近隣ユーザーへ短距離輸送を行う
  • 平成20年度資源エネルギー長官賞を受賞

地域でつくったガスを地域で使っていただく地産地消の考え方

復興のシンボルとしてくまモンのイラストを施したVSUプラント

さらに、各地域の有力な産業ガスサプライヤーとの合弁事業でVSUを設置しているのも大きな特徴だ。エア・ウォーターがこれまで持たなかった新しい供給ネットワーク構築にも大きな役割を果たす。地域に根ざした有力企業は、地域特有の需要構造を把握している心強いパートナーだ。各地域に設置したVSUを拠点に、産業界に欠かせないガスの安定供給を協業することで、地域の産業発展にもつながっていく。

  • 地域の有力産業ガスサプライヤーとの合弁企業(福山液酸(株))
  • 岩手県紫波町と企業立地協定を締結(岩手液酸(株))

災害に強いガス供給ネットワークの実現

災害時においても医療用ガスを病院へ供給を行った

地域分散型の産業ガス供給ネットワークは、地震をはじめとした災害時におけるガス供給の際にも力を発揮する。東日本大震災では、マグニチュード9.0の地震と大津波によって、関東や東北の複数の液化ガスプラントが設備破損や停電などの影響で停止し、各地の多くのガス充填工場も機能が止まる事態になった。その際、新潟のVSUが東北へガス供給の前線基地となり、被災地までピストン輸送を行うとともに、松本のVSUが新潟へのガス供給をバックアップ、さらに、相模原や静岡のVSUからは関東甲信越全域へのガス供給を行った。

1ヶ所の大型工場において産業ガスを大量生産するのではなく、生産拠点を分散化していたからこそ、お客様への影響を最小限に食い止め、病院で使用する医療用ガスの安定供給を行うことができる。まさに、分散配置という最大の特長がユーザーのBCP(事業継続計画)にも貢献した。北海道から九州まで全国18拠点で稼働するVSUは、今後、設置エリアのさらなる拡大をめざす。産業やくらしのライフラインとして、これからもVSUは大きな力を発揮する。

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