酸素をはじめとしたガス供給、エネルギー、人工海水のほか、魚の鮮度保持分析技術、水処理プラントの開発設計など、養殖事業を行う上で必要な要素を多数有しており、これらを組み合わせパッケージ化することで、「陸上養殖プラットフォーム」の提供に取り組んでいます。

陸上養殖プラットフォーム事業

国内の漁業は、漁獲量の減少や漁業従事者の減少・高齢化といった課題があり、安定的な漁業モデルが求められています。こうした中、一定の質や量の生産を実現することができる養殖業の普及が進んでおり、特に、魚介類の中で需要の高いサケ・マス類の養殖が全国各地で事業化されています。一般的な養殖モデルである海面養殖は、海水温の上昇や自然災害の影響を受けやすいことから、当社では、2023年度より自然状況に左右されにくく環境負荷の低い「陸上養殖」に取り組んでいます。

 

エア・ウォーターグループは、養殖時に不可欠な酸素、LPガス等のエネルギー、人工海水等の消耗品を取り扱っていることに加え、遠隔監視・鮮度保持・食品分析等の技術や、道内各地に拠点を有する物流ネットワークを有しています。こうしたことから、養殖プラント設計から設備の運転、メンテナンスまで一貫したパッケージで販売を行う「陸上養殖プラットフォーム」事業の確立を進めています。

杜(もり)のサーモンプラント・東神楽

杜のサーモンプラント東神楽では、飼育水をフィルターでろ過して水をリサイクルし水槽の20~30%換水する「半閉鎖循環式」を採用しています。飼育する水に酸素を溶かすことで成長を促進し、自然界では出荷まで3~5年かかるものが約2年で出荷可能となります。飼育する魚は全雌三倍体(卵を持たず、成熟しない魚)のニジマスで、旨味を出すため出荷前数週間のみ人工海水を用い飼育します。その際に活用した人工海水を用い、ウニなどとの複合飼育の研究も進めていきます。併せて、養殖排水を植物が栄養として吸収するアクアポニックス(水耕栽培)も行うことで、サステナブルなフード事業に取り組みます。


また、本プラントで生産されたサーモンは、東神楽町においてブランド化し、周辺の飲食店やふるさと納税の返礼品などで活用する予定です。地域の教育・研究機関とも連携し、放流や食育学習などを通じて、環境保全やフードロス等のSDGsの達成に向けた取り組みを進めていきます。

施設概要

(1)所在地 :北海道上川郡東神楽町字志比内73-3
(2)敷地面積:4,290㎡
(3)排水方式:半密閉循環システム
(4)水槽数 :飼育水槽(直径7m)4台、仕上げ水槽(直径4m)4台
(5)魚 種 :ニジマス、ウニ
(6)出荷量 :30トン/年 (12,000尾 相当)