環境・社会

経営者コミットメント

地域とともに発展を続けるために新たな事業を創造する。それが私たちの「社会への貢献」と考えます。 エア・ウォーター株式会社 代表取締役会長・CEO 豊田 昌洋

 近年、日本では外国からの労働者の受け入れや観光客の呼び込み等の施策が積極的に進められています。長い間「同質」であることに重きを置いてきた感のある日本社会が、さまざまな「違い」「異なるもの」をいかに理解し、受け入れていくか、日本は今、多様性社会を開く扉の前に立っているように思います。

 エア・ウォーターグループは過去2 度の合併とその後のM&A推進により、幅広い業種・業態の企業と人材を擁し、発展してきました。その成長の原動力は、異なる経歴、能力、専門性、価値観を持つ多様な人材の融合にあります。今後、「若手社員の育成」や「女性が活躍できる環境づくり」を充実させることにより、多様性を大切にし、違いを受容して活用する企業風土を磨き上げ、ダイバーシティを重視した経営を推進していきます。

 さて、こうした多様な人材の活躍により、私たちが掲げてきた「2020年度1 兆円企業ビジョン」は、実現に向け着実に歩を進めつつあります。そして今、「One Air Water」を合言葉に、2020年以降も成長し続けるための準備を進めているところです。

 この成長ビジョンはまた、「地域を中心に、地域とともに」発展するビジョンでもあります。合言葉の「One Air Water」の「One」には、エア・ウォーターが一丸となるという意味と同時に、地域とも「一つ」になって取り組んでいく決意を込めました。地域への貢献を重要なテーマの一つとして、全国9 つの地域事業会社をはじめ、エア・ウォーターグループ各社は、地域の皆様の期待に常に応える企業となることを目指しています。経営理念にある「空気、水、地球、そして人にかかわる事業」の新たな創造もまた、そうした貢献につながると考えます。

 2016 年5月に稼働を開始した「安曇野バイオマスエネルギーセンター」は、その一例です。木質バイオマスを使ったガス化コージェネレーション設備によって、野菜栽培用のエネルギーを供給する同センターでは、周辺地域の未利用木材から得た、熱、電気、木炭、二酸化炭素など、貴重な資源を余すことなくグループ企業、そして地域で活用する、理想的なエコロジーサイクルを生み出しています。

 人の暮らしに不可欠な農業と発電を融合させたこの新事業は、独自の戦略である「全天候型経営」と「ねずみの集団経営」を信州地域で根付かせてきた当社と、地域の皆様との信頼関係のもとで実現に至ったものです。地域からいただいたご協力を、私たちは「地産地消」「雇用創出」という形で地域に還元していきます。地域社会と地球環境に貢献するこの新たな事業モデルを「半農半電」と名付け、今後も各地域事業会社において、地域の特性に応じた独自の形で展開させていく予定です。

 また本冊子の特集では、人々の生命、暮らし、そして地域産業を守り、支える取り組みをご紹介しています。特集1で取り上げたエア・ウォーター防災は、呼吸器、消火設備、医療用ガス設備、手術室設備、医療機器など、「生命」に直結するものを扱う企業として、2016年4月から製品の耐震安全性を保証する「振動試験センター」を稼働させました。熊本地震をはじめ、自然災害発生が相次ぐ昨今、防災の観点からも、エア・ウォーターグループが連携し、事業領域の幅広さを活かした社会貢献の道をさらに模索していきます。

 一方、特集2で取り上げたのは、北海道で炭酸ガス原料の供給ソースがなくなるという問題を、行政や関係企業とエア・ウォーターグループが連携・協力して乗り越えた、地域課題解決の事例です。地域で培ってきたお客様との信頼関係をもとに、社会の課題に取り組むエア・ウォーターの姿勢をご理解いただけると思います。

 エア・ウォーターグループは、産業ガスやケミカル事業など「産業系ビジネス」から医療、エネルギー、農業・食品といった「生活系ビジネス」まで、幅広く事業を展開し、さらにその領域の拡大を続けつつあります。その全ての事業で、私たちはいつも皆様から必要とされる魅力ある存在であらねばなりません。社会の課題やニーズに真摯に向き合い、応えていくには、いかなる分野に携わる従業員にも、高い理想と倫理観、心身の健康が不可欠です。そのための、従業員教育、コンプライアンス意識の徹底、健康経営にも、積極的に取り組んでいきます。

 そうした健全な従業員一人ひとりの知恵と力の結集により、社会の皆様とともに発展する企業を目指し、これからも邁進いたします。

 ステークホルダーの皆様には本報告書を通じ、エア・ウォーターグループの姿勢と活動に理解を深めていただければ幸いです。今後とも一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。